この作品は同作品の中でも逸品だと思います。
それはストーリー全般にも言えますが、細かな小道具にさえ情報が詰まっているからです。
その証拠として、初めのシーンに注目して下さい。
クラークが部屋に入ると、入り口の脇に等身大の編集長の写真が立て掛けてあります。
その写真には「Get to know your planet」という文字が書かれてありますが、日本語訳では「自分の惑星を知ろう」となっています。
さあ、この言葉には別の意味があるんですが、解かるでしょうか。
問題は「planet」です。
これは惑星のことですが、占星では (人間の運命・人事を左右すると考えられた)運星という意味があるんです。
「運星」は運命の星ではなく、星の運命と訳した方が解かり易いと思います。
つまり「Get to know your planet」という言葉の別の意味は、「あなたの星の運命を知って下さい」となります。
私たちが住んでいるこの地球は「第3惑星」と呼ばれています。
何故「第3」なのか?・・・これは太陽系の太陽を軸とした星の配列順を基準にした言い方ですよね。
しかし、その他の星を指してわざわざ「第1惑星」とか「第2惑星」とはあまり言いません。
そもそも「惑星」と呼ばれる理由が明確ではないんです。
何故「惑う」という文字を使って呼ぶのか?・・・
一説では、天球上の一点に留まらずうろうろと位置を変えるようすを表現したとも言われていますが、逆に天球上で一点に留まっている星ってあるんだろうか?という疑問が湧いてきます。
それに「惑う」を使うにはあまりに悪いイメージしかありません。
考えられるのは1つだけ・・この星の人間が「惑わされている」からというのが真相に近い気がします。
では何故「第3」なのか・・・これも「第1」「第2」が存在しているからでしょう。
太陽系の惑星のことではありません。
順番では「水星」「金星」がそれに当たりますが、それだと「地球」よりその2つの星はより太陽に近いことになります。
「地球」の中でさえ赤道直下の地域は太陽に近くなっているとされ、その地域の温度は他の地域より格段に高くなっています。
このことを考えても、「地球」より太陽に近い星って存在しにくいんじゃないでしょうか?
つまり「第1惑星」「第2惑星」は「水星」「金星」を指していないと思われます。
ですから「地球」を「第3惑星」と呼んでいるのは、惑わされた星が3つあって「地球」がその3番目に当たるからだと考えています。
さあ、これで「私たちの星の運命を知る」手がかりを得ましたね。
私たちの星を惑わしているものがこの「スーパーマンシリーズ」に出てきます。
そう・・「スーパーマン」の敵です。
それを念頭に置いて、先を読み進めて下さい。
クラークは新聞社仲間だった「ロイス・レイン(Lois Lane)」という女性を探します。
クラークは以前から彼女にホの字ですが(笑)、彼女が誰なのかは名前に表されています。
「Lois Lane」の「Lo」は「Lの魂」のことで、「is」は「isle(島)」の略です。
「島」は島国である日本のことだと思います。
「Lane」は小道という意味です。
「小道」というのは別のところでも同じような表現がされているんですが、「大きく広い道ではない」という意味が含まれています。
つまりどういうことかというと、誰でも簡単に歩けるような道ではなく、困難も多く苦しいことがあってたくさんの人が歩きたがらない細い道という意味なんです。
つまり「ロイス・レイン(Lois Lane)」は日本に住んでいる者で多くの人が歩まないような苦しい道を行く者という意味になります。
彼女は他の人がやらないようなことをやろうとする信念を持っています。
クラークはそんな人が好きなんです(〃∇〃)
彼女のデスクにピューリッツア賞を受けたレポートが置いてあります。
クラークはそれを見て彼女の頑張りが認められていたことを知りますが、その題名が「なぜスーパーマンは必要ないか」となっているのを見て驚きます。
クラークはショックを隠せないようですが、私にはこの意味が解るような気がします。
ここでの「スーパーマン」は「超人」のことです。
そう考えれば、何となく解る人もいるんじゃないでしょうか?
「ロイス」は人間社会をどうやって理想に近づけるかを考えたんだと思います。
人間一人でできることには限界があります。
その中で「超人」がいたとしたらどうなるでしょう?
その答えは「千と千尋の神隠し」に出てきます。
釜爺というクモの足を持つ老人のところで、ススワタリという小さな黒いものが石炭を運ぶ仕事をしていますよね?
「千尋」はそれを手伝おうとしますが、それに味を占めたススワタリたちが次々と自分の仕事を手伝わせようとします。
つまり、怠け者が増えるってことでしょう。
本来、この世界に「スーパーマン」は必要ないんです。
「調和」は助け合うことで成り立っていきます。
誰でもできることとできないことがあり、お互いがその欠けている部分を補い合おうとすることで世界が善意に包まれていくのです。
その「調和の心」こそ、この世界には必要だと「ロイス」は思ったんでしょうね。
では何故「スーパーマン」がいるんでしょうか?
それはこの星の人間が惑わされているからです。
これは普通の人間が解決できないことが存在しているからで、「スーパーマン」はそれを解決し「惑わし」から人々を解放する使命があるのではないでしょうか?
そのための「力」です。
そのために使われるべきものです。
だから「クラーク・ケント」という冴えない男が存在し、「スーパーマン」は敵と戦うためだけに登場してくるんです。